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 ■不動産売買の危険負担

1、危険負担の具体的な事案
ある事例について検討します。

『代金の2割を手付金として払い、一ヵ月後に残金支払と引換えに移転登記することで戸建住宅の購入契約をしました。
既に手付は払っているのですが、実は残金支払前に落雷により建物が滅失してしまいました。
でも不動産屋さんは建物部分についても私に支払義務があるといいます。
建物は既に無いのに建物代金まで払えとはおかしくないですか?』。

結論から申し上げれば、この場合、買主負担となり、代金を支払わざるを得ないと考えられます。

危険負担とは、「生じた損害について誰も悪くない場合、誰が責任を取るか」を規定したものです。落雷等自然災害による損害は誰が悪いわけでもありません。従って、この問題は、危険負担の問題になります。

2、民法が認める売主への責任追及
そもそも民法上考えられうる買主の売主に対する責任追及は次の3つだけです。

@売主に不法行為があった場合の損害賠償請求
売主の故意又は過失(落度)によって買主に損害を与えた場合に請求可能

A売主に債務不履行があった場合の契約解除、損害賠償請求
約束日に引き渡してくれない、移転登記してくれない等売主としての義務を果たさない場合に請求可能

B売主の担保責任による契約解除、損害賠償請求
担保責任とは、買主に認める責任追及が上記2つだけでは買主に酷なため、民法が想定した売買上でよく起こるトラブルの場合についてのみ、売主の責任と規定したものです。この場合、たとえ売主が悪くなくても買主は契約解除、損害賠償請求が可能となります。

3、危険負担の必要性・その内容について
それでは、今回は上記3つのうちいずれを追及できるでしょうか。

落雷、地震等の自然災害などは、売主の責任ではありません。また、これにより、引渡しが出来ないのも、売主の責任ではありません。また、自然災害による損害は売主の担保責任適用の想定外です。

そこで、民法ではこのような場合の損失(=リスク(危険))をだれが負担するかを規定しました(危険負担)。
危険負担は売買する物により適用される内容が異なります。

@特定物売買の場合
買主が損失を負担します。
※特定物売買‥不動産や中古車等世の中に全く同じものが存在しないものの売買をいいます。 売り物が特定物だと、滅失してしまえば買主は代わりの物が提供できない為、、買主に泣いてもらおうとするものです。

Aそのほかの売買の場合
売主が損失を負担します。
同じ物が世の中にあるならばそれを再度売主に提供させる事で 売主に損失を負担させることで解決しようとするものです。

4、不動産に適用される危険負担
民法では、不動産は同じものが二つと無いから、不動産売買は特定物としています。
このため、@が適用され、買主が損害を負担する事になります。
よって、建物は滅失しても予定通り不動産業者に建物分も含めて残金を払わなければならないのです。

もっとも、「買主は登記の移転や引渡し、代金の全額支払のいずれも完了していない以上、 この不動産は確実に自分のものとしていないのだから、建物の滅失による損失を買主に負担させるのは酷というものだ」‥としてこの結論の逆を唱える有力な説もあります。

しかし、最高裁判所はこの説を採用せず、買主負担とする判決を出し続けているのが現状です。

但し、売買契約において危険負担について特約を結んでいる場合はそちらが適用されます。

※本ページではなるべく分かりやすくする為、法律的な常識からかけ離れた表現方法も用いていますゆえ、ご容赦下さい。

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